魂の輝きに

繰り返される戦士とアイヌ少女との物語ー「杉元はアシリパさんの父親の運命を超えるか」ゴールデンカムイ考察

最近ゴールデンカムイを読み返して思ったこと。
アシリパさんの父親と杉元は共通項が多く、同じ道をたどって行っている、ということ。

①顔に傷跡を持つ男

インカラマッが杉元に「わたし傷のある男性にとても弱いんです」と語っていたのは偶然ではなくて、アシリパさんの父親の顔には皇帝アレクサンドル2世を襲撃した時の傷が、杉元の顔には日露戦争で負った傷が刻まれている。
傷跡は戦いの証であると同時に過去を持つ男、の意。
アシリパさんの人生には父親と杉元、過去を持つ男が大きく関わってくる。

帝政ロシアとの戦い

「ロシアと言っても一枚岩じゃない 白系ロシア人が支配する帝政ロシア レーニン率いるユダヤ系の共産党 そして極東に住む少数民族などで構成されたパルチザン ロシア国内ではこれらの勢力が三つ巴になって殺し合っている」(土方談)

大日本帝國陸軍と少数民族パルチザン
杉元とアシリパさんの父親は立場は違えど帝政ロシアという同じ敵と闘ってきた。

③北海道アイヌ少女との出会い

アシリパさんの父親ウイルクは、「帝政ロシアからの解放運動で戦い傷つき北海道に逃げてきた」(インカラマッ談)。
小樽でまだ子供だったころのインカラマッと出会い過ごすうち、ウイルクは癒され北海道アイヌを愛していく。
日露戦争後退役し砂金を求めて北海道へ渡った杉元はアシリパさんと出会い、欠かせない相棒となる。
ロシアの地で傷ついた戦士は北海道の地でアイヌの少女と出会い、アイヌの運命に関わっていく。

④よそ者のふたり

杉元は倭人であり、アシリパさんの父親は樺太アイヌと流刑にされたポーランド人との子。
アイヌの未来のためにアシリパさんを育てた父親は北海道アイヌではないよそ者だった、というのが物語の重要なファクター。

アイヌの未来(=アシリパさん)はよそ者とともにある。

暗示するのは杉元の未来か、アシリパさんの未来か

アシリパさんの父親とインカラマッの関係は杉元とアシリパさんの関係をなぞったものであり、だからこそアシリパさんはインカラマッの「ウイルクにとっては私はまだ子供でしたから 忘れちゃったかもしれませんね」という言葉に自分と杉元の姿を思い浮かべている(第116話 青い目)

ウイルクとインカラマッの関係をそのままたどるなら、杉元はアシリパさんを選ばずアイヌの未来を想う道の途中で死を迎え、アシリパさんは放浪の旅に出ることになる。

その運命を超えるには。

わたしはアシリパさんの名前の示す「新年」、つまり何かを改める必要があると考えている。

アイヌ」とは「人間」の意。

樺太編は杉元が自分を人間として生きていくのを許していく物語。

アシリパさんと杉元、ふたりがともにある未来を願ってやまない。